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共創関係

NRIJ交渉ワンポイントでは、Q&A形式で日頃の交渉に関するご質問や悩みにお答えしています。どうぞお気軽にご相談をお寄せください!


Question

資材部のバイヤーです。最近、サプライチェーンにおけるパートナーシップと言われますが、それは理想論に過ぎないのではないですか?

Answer

ビジネス交渉の本質とは何でしょうか。

しばしば「利益の奪い合い」と誤解されがちですが、真の交渉とは、自社の利益を確保しながらも、相手の利益にも貢献する“共に勝つ”アプローチです。価格交渉の場で「こちらが得をすれば相手が損をする」というゼロサムの思考に陥ると、関係性はすぐに消耗戦になってしまいます。目先の成果を得ることはできても、やがて信頼は損なわれ、将来の取引機会を失うリスクすらあります。

某メーカーの社長は「材料費を削減するうえで、設計と同じくらい重要なのが調達だ。調達では、つい“買い手優位”の立場から、サプライヤーに一方的な値下げを要求してしまいがちだが、それでは良好な関係は続かない。本当に大切なのは、サプライヤーと一緒に課題を解決しようとする姿勢だ」と語っています。

この企業では、サプライヤーからのVE提案を積極的に受け入れ、成果に応じた報奨制度を設けているとのことです。こうした取り組みは、単なるコスト削減ではなく、信頼と創意に基づく“共創関係”を育てます。

競争から協働へ。サプライヤーを敵ではなくパートナーとして捉える視座こそが、企業の持続的成長と競争優位の鍵を握っています。
今後はあなたも、その視座から交渉されることを推奨いたします。