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許容範囲限定の危険性

NRIJ交渉ワンポイントでは、Q&A形式で日頃の交渉に関するご質問や悩みにお答えしています。どうぞお気軽にご相談をお寄せください!


Question

私は営業マネージャーです。過日の会議で「最大8%までは値引しても良い」と部員に指示したところ、ほとんどの部員が「8%引き」で契約して来ました。

Answer

あなたは「最大8%までは値引しても良い」と、Walk Away(立ち去るライン)を部員に指示したつもりですが、その場合、ほとんどの部員が8%の値引をしてしまいます。

これは「人間は易(やす)きに走る」の好例です。あなたとしては、Walk Away(立ち去るライン:値引きの最大値)を指示したつもりですが、残念ながら、その指示は、部員にとっては「最小」(ここまでは譲歩しても許されるライン)として捉えられてしまいがちです。 これが、許容範囲の限界を設定する危険性と言われます。つまり、その許容範囲限定が、その数字のスタートラインになってしまうことです。

本来ならば、その原価に至らないために、さまざまな戦略や努力が、あるはずですが、その努力を惜しむために、一っ飛びに限界値に行ってしまいます。 ここで重要なポイントは、いかにブレーキをかけながら、ゆっくりと進むかです。つまり、一っ飛びに限界値に行かないように、粘り強く交渉できるかです。

一方、購買の場合でも同じことが言えます。 より有利な条件で交渉するためには、契約期間を「最長5年間までの契約期間なら良い」と指示を受けても、いきなり「5年間までならOKですよ」と言うのは、もったいないですよね。 例えば「もし3年間の契約をするとすれば、いくらの料金にして貰えますか」などと段階的に交渉を進めることで、最終的に5年間契約になった場合、より有利な条件で契約できるはずです。

このように「最大値」と「最小値」を混同すると、すべての可能性を確かめることができなくなります。また、このような落とし穴に落ちてしまいがちです。 つまり「易(やす)きに走る」と損をします。そのことを、部員の方に教えてあげて下さい。

富山の薬売り「七楽」の教えというのがあります。つまり「楽すれば、楽が邪魔して楽ならず、楽せぬ楽が、はるか楽々」と言っています。