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事前調整

NRIJ交渉ワンポイントでは、Q&A形式で日頃の交渉に関するご質問や悩みにお答えしています。どうぞお気軽にご相談をお寄せください!


Question

前回ブログの「準備と戦略」のテクニックとして、交渉の現場で使えそうなものは、どのようなものがありますか?

Answer

交渉の現場でよく使われるテクニックのひとつに「事前調整(コンディショニング)」があります。
これは、相手の先入観や前提知識に対して、あらかじめ「交渉の余地がない」と思い込ませ、相手を諦めさせる手法です。

受託事業者が
「原材料が高騰しており、価格についてはどうしようもありません。むしろ上げたいくらいです」と発注者に訴えること。
あるいは、発注事業者が
「予算は○○までと上司から言われていますので、その範囲内で何とかお願いします」と切り出すことなどです。

 

前者は、値下げの可能性を事前に封じる典型的な事例であり、後者は受注事業者が、その予算内で条件を考えざるを得なくなる事例です。
事前調整は必ずしも交渉の冒頭だけで使うとは限りません。たとえば、話し合いがまとまらないとき、別れ際に次のように伝えます。

「ただ、予算は超えられませんので、その点はご承知おきください」と釘を刺しておけば、相手に大きな心理的影響を与えることができます。

 

一方、相手から事前調整を仕掛けられた場合は、その言葉をそのまま信じ込まず、客観的で信頼できる情報を根拠に判断することです。
たとえば「市況データ」や「業界平均値」といった情報を確認することで、ブラフや駆引きに惑わされず冷静に対応できます。

「事前調整」の一言が、成果を大きく変えることを意識して、交渉の場に臨みましょう。