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なめられている?

NRIJ交渉ワンポイントでは、Q&A形式で日頃の交渉に関するご質問や悩みにお答えしています。どうぞお気軽にご相談をお寄せください!


Question

私は大手企業のバイヤーです。最近、当社のバイヤーは弱腰になっており、サプライヤーに「なめられているのでは?」と感じています。

Answer

交渉の場で相手から反論されたとき、つい「当方の要請は妥当なものなのに、なめられているのでは?」と感じることがあるのでしょうか?
実は、相手も同じように「自分の要請こそが妥当なもの」と確信しているのかもしれません。人は、事実関係の解釈や立場の違いによって意見が分かれるとき、誰もが自分の正しさを信じたいものです。特に、強い立場の人や年長者ほど、その傾向が強くなります。

さらに厄介なのが「プライド」です。プライドの高い人ほど「相手に負けたくない」と思い、相手の考え方を攻撃しがちです。確かに、議論に勝つことはできるかもしれませんが、その勝利は交渉の成果には、つながりません。なぜなら、無理やり合意させたとしても、相手の心には「悔しい」といった感情だけが残り、信頼や協力意識が遠ざかってしまうからです。

交渉の目的は何ですか?それは「誰が正しかったか」を証明することではありません。お互いが納得できる合意を得ることこそがゴールです。
「交渉の成果は相手の協力度に正比例する」と繰り返し説いているのは、相手の協力なしに、当方の成果を実現することが不可能だからです。

覚えておきたい心得は「快く譲るべし」。自分の正しさに固執するのではなく、相手の意見を尊重し、譲れるところは気持ちよく譲る。そうすることで相手は安心し、協力する気持ちを持ってくれます。結果的に、論争の勝利よりはるかに大きな成果を手にできるのです。