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「軸」をつくる

NRIJ交渉ワンポイントでは、Q&A形式で日頃の交渉に関するご質問や悩みにお答えしています。どうぞお気軽にご相談をお寄せください!


Question

私は、交渉前に立てた目標に対して、半分にも満たない交渉結果に終わることが多く、よく後悔します。

Answer

それは、すべて事前の準備不足と言えます。あなたのいう「交渉前に立てた目標」は、真の目標ではなく「単なる願望」の域を出ていないでしょう。

「単なる願望」は、そうなれば良いなと「棚から牡丹餅(ボタモチ)」が落ちてくるのを期待しているだけであり、具体的な戦略・戦術を練って臨んでいるわけではありません。それでは、真の目標を得られるはずがありません。

ただし、事前準備をしないのは、あなただけではありません。日本人の多くの人がそうです。だから、交渉に臨むに当たっての「軸」を持っていません。

「軸」がなく、柔軟性が高い日本人は、相手の出方や言動によって、合意内容が「大ブレ」してしまい、その結果、後悔してしまうことになります。

一方、欧米人は重要な交渉事については、事前の準備を周到に行い「軸」をしっかりと持って交渉に臨みます。ただ、彼らの欠点は柔軟性がないことです。事前準備した「軸」に固執してしまうために、交渉が決裂してしまいます。

その端的な人物は、2009年シーズンオフの米大リーグ・ヤンキース球団・キャッシュマンGMです。

契約更改に当たり、松井秀喜選手が「ヤンキースが好きだし、ニューヨークが好き」「来季は外野の守備に就きたい」という声に、まったく耳を貸すこともなく「あくまでも、君はDH専任(打つだけ)だ」と繰り返しました。

そのため交渉は決裂し、松井選手は失意のまま他球団に移籍しました。その時、日本人は「キャッシュマンGMは何という石頭なんだ」と憤激しました。

その場合、日本人なら「分かった。君の膝の具合が良く、監督がOKを出した時は、守備に就いてもらうから」と柔軟な対応ができたと思います。それで、お互いに「めでたし。めでたし」の合意に達したはずです。

だから、事前準備でしっかりと「軸」をつくり、交渉の場では日本人特有の柔軟性を発揮すれば、お互いに納得できる良い合意が可能になるでしょう。