1. HOME
  2. ブログ
  3. 隠れ蓑

隠れ蓑

NRIJ交渉ワンポイントでは、Q&A形式で日頃の交渉に関するご質問や悩みにお答えしています。どうぞお気軽にご相談をお寄せください!


Question

先日のセミナーで「第三者の権限」の説明を聞きましたが、それは相手に、責任逃れと受け取られませんか?

Answer

交渉では相手に厳しい条件を伝えなければならない場面があります。しかし、こちらが直接「この条件では無理です」と突き放してしまうと、築いてきた信頼関係まで傷つけてしまう恐れがあります。

そんな時に有効なのが、「第三者の権限」を活用する交渉術です。
例えば「私としては妥当な価格だと思うのですが、上層部の指示と比べると、まだ高いと言わざるを得ません」と伝える。
あるいは「私もできる限り努力したのですが、残念ながら役員会の承認を得られませんでした」と説明する方法です。

つまり、自分自身が拒否しているのではなく「第三者の権限によって難しい」という形にすることで、当事者同士の関係を守ります。
場合によっては「私も困っている立場なのです」というメッセージを伝えることもできます。

ただし、ここで注意したいのは、第三者を単なる「隠れ蓑(みの)」にしてはいけないということです。
相手に、一度でも「責任逃れをしている」とか「権限のない人だ」と思われれば、かえって信頼関係を損なうことになります。
大切なのは「第三者の権限」を伝えながらも、自分は、今回の交渉案件に真剣に向き合っている姿勢を示すことです。「私としても何とかしたい」「ここまでは努力できる」と、自分の意思や努力をきちんと伝えることが欠かせません。

なお「第三者」は、相手が直接交渉できる人物を選ばないことです。
「上司と直接、話したい」と言われる可能性があるからです。

「第三者の権限」を「隠れ蓑」にするのではなく、信頼関係を守るためのクッションとして活用することをお勧めします。
その姿勢こそが、長く続く良いビジネス関係につながるのです。