沈黙は金 or 罪?
NRIJ交渉ワンポイントでは、Q&A形式で日頃の交渉に関するご質問や悩みにお答えしています。どうぞお気軽にご相談をお寄せください!
Question
私はバイヤーです。「沈黙は金」と理解していましたが、ある人から「沈黙は罪」と聞きました。どちらが正しいのですか?
Answer
交渉の世界には「沈黙は金」という有名な格言があります。特にバイヤーにとって、沈黙は非常に強力な武器です。
相手の提案に対してすぐ返答せず、あえて黙ることで、相手は「内容に納得がいかないのでは?」「このままでは決裂か」と不安になります。すると、こちらが何も要求していないにもかかわらず、自ら価格や条件を譲歩してくることがあります。
一方、すべての場面で沈黙が有効とは限りません。特に、グローバル交渉では、「沈黙は罪(crime)」という考え方が存在します。
スペインには「沈黙は承認のしるし」という諺があります。また、米国の大統領だったアブラハム・リンカーンも「抗議すべき時に沈黙するのは臆病者だ」と語っています。つまり、黙ることは“同意”と受け取られてしまうのです。
日本人は、もともと争いを避ける傾向があります。商談や会議で強く反論されると、つい黙り込んでしまう人も少なくありません。しかし、その瞬間、相手は「こちらの主張が正しい」と受け止め、さらに強気に出て来る恐れがあります。
また、周囲の第三者にも「沈黙している人間のほうが間違っている」という誤った印象を与えかねません。
だからこそ、ビジネスパーソンには「必要な場面では、きちんと主張する力」が求められているのです。もちろん、感情的に言い返す必要はありません。大切なのは、冷静に論理的に、そして粘り強く、自分たちの正当な権利や立場を伝えることです。
交渉では「沈黙すべきとき」と「声を上げるべきとき」を見極めることが必要です。ケースバイケースで、臨機応変に使い分けてください。